Nordic Semiconductorは、Embedded World 2026で、IoT機器のバッテリーをよりスマートに、そして長持ちさせるための画期的なソリューション「Nordic Fuel Gauge v2.0」を発表しました。

この新しいバッテリー健康モニタリング技術は、nPM1300およびnPM1304パワーマネジメントIC向けに提供され、バッテリーの健康状態(State-of-Health:SoH)の高度な推定、適応型バッテリーモデル、そして長期的なフリート分析機能が追加されています。
長寿命な製品開発と新たな規制への対応
Nordic Fuel Gauge v2.0は、メーカーがより信頼性が高く、持続可能で長寿命な製品を開発するのに役立ちます。特に、製品のライフタイム中にエンドユーザーがバッテリーを容易に取り外し、交換できることを義務付けるEU電池規則(2023/1542)のような、新たに強化されるバッテリー交換規制への対応も可能にします。
これにより、メーカーはバッテリーの交換時期を適切に判断できるようになり、「修理する権利(Right to Repair)」への対応を支援するとともに、製品の信頼性向上と保証コストの削減が実現します。
Nordic SemiconductorのPMIC製品ディレクターであるGeir Kjosavik氏は、「実際の現場でのバッテリー挙動は、ラボでの測定結果と一致しないことがほとんどです。Fuel Gauge v2.0により、これまでハイエンドのコンシューマー機器に限られていた適応型の実環境インテリジェンスをIoT分野に提供します。これは数十億台のバッテリー駆動デバイスにとってゲームチェンジャーとなるでしょう」と述べています。
Memfault統合のnRF Cloudでフリート全体のバッテリー状態を把握
Fuel Gauge v2.0は、Nordicのクラウドライフサイクルサービス「nRF Cloud powered by Memfault」とシームレスに連携します。これにより、デバイスは独自のクラウド基盤がなくても、バッテリーのSoH、充電状態(SoC)、および各種性能指標を自動的にレポートできるようになります。
エンジニアリングチームや運用チームは、フリート全体のバッテリー状態を監視し、異常の検出、充電パラメータの最適化、さらには実環境データに基づいた将来のハードウェア設計の改善に役立てられます。
Memfaultの創業者で、Nordic Semiconductorソフトウェアサービス担当VPのFrançois Baldassari氏は、「Memfaultは、あらゆるハードウェアチームが高度なデバイスインサイトを活用できるよう設計されました。Fuel Gauge v2.0をnRF Cloudとシームレスに接続することで、企業はフリート全体のデバイス挙動を理解・改善するための強力かつスケーラブルな手段を手に入れます。これはバッテリーインテリジェンスの未来です」とコメントしています。
高精度な寿命予測を実現する新しいバッテリーモニタリング手法
Fuel Gauge v2.0では、バッテリーの初期プロファイルと実際の使用挙動を継続的に比較する適応型モデルが導入されています。これにより、正確なバッテリーSoHの推定、充放電サイクル、および長期劣化トレンドの追跡が可能になり、バッテリーが経年劣化しても製品寿命全体にわたって安定した精度を維持します。また、複数のバッテリーを交換しながら使用する機器でも、それぞれのSoHを個別に管理できます。
このNordicの手法は、専用のバッテリー状態管理ICを必要とせず、nPM1300に内蔵された電圧・温度・電流測定機能と、高度なホスト側アルゴリズムを組み合わせて動作します。これにより、専用ICと同等の精度をより低コストで実現し、部品点数(BOM)の削減とシステムの簡素化が可能になります。さらに、スリープ時の消費電力はゼロで、大幅な省電力を実現しています。
Fuel Gauge v2.0は、nRF54シリーズやnRF91シリーズを含む任意のホストMCUまたはワイヤレスSoC、さらにはNordic以外のホストでも動作可能で、幅広い接続機器に高度なバッテリーインテリジェンスを導入できます。
提供時期
Nordic Fuel Gauge v2.0は現在、顧客向けにベータ提供中で、2026年6月に正式提供が開始される予定です。詳細については、Nordicのバッテリー状態管理ページをご覧ください。

