NVIDIAは、2026年1月5日にラスベガスで開催されたCESにおいて、フィジカルAI向けの新しいオープンモデル、フレームワーク、AIインフラを発表しました。
この発表では、Boston Dynamics、Caterpillar、Franka Robotics、Humanoid、LG Electronics、NEURA Roboticsといった世界的なパートナー企業が、NVIDIAの技術をベースにした新しいロボットや自律マシンを多数公開しています。NVIDIAの創業者兼CEOであるジェンスン・フアン氏は、「ロボティクスにとってのChatGPTの瞬間が到来しました」と述べ、フィジカルAIのブレークスルーが新たな応用分野を切り開くと強調しています。

新しいオープンモデルでロボットが賢くなる!
これまでのロボット開発は、高コストで特定のタスクに特化しており、プログラミングも大変でした。しかし、NVIDIAは、ロボットが人間のように物理世界を理解し、推論し、行動できるような「スペシャリスト ジェネラリスト」型ロボットの実現を目指し、オープンモデル群を開発しました。
Hugging Faceで提供されるこれらのモデルは、開発者が大規模な事前学習をスキップし、次世代AIロボットの開発に集中できるように設計されています。
主要なオープンモデルは以下の通りです。
-
NVIDIA Cosmos™ Transfer 2.5 および NVIDIA Cosmos Predict 2.5:フィジカルAI向けシミュレーションにおける物理ベースの合成データ生成とロボットポリシー評価を可能にする、オープンで完全にカスタマイズ可能な世界モデルです。
-
NVIDIA Cosmos Reason 2:インテリジェントマシンが人間のように物理世界を見て、理解し、行動することを可能にする、オープンな推論視覚言語モデル (VLM) です。
-
NVIDIA Isaac™ GR00T N1.6:ヒューマノイドロボット向けに構築されたオープンな推論視覚言語行動 (VLA) モデルで、全身制御を可能にし、NVIDIA Cosmos Reasonを活用してより優れた推論と文脈理解を実現します。
これらのモデルは、Franka Robotics、NEURA Robotics、Humanoidといった企業で、ロボットの新しい動作のシミュレーション、トレーニング、検証に活用されています。また、Salesforceでは、Agentforce、Cosmos Reason、NVIDIAの動画検索および要約用 Blueprintを組み合わせることで、自社ロボットが撮影した映像データを分析し、インシデント解決時間を短縮しています。
LEM Surgicalは、NVIDIA Isaac for HealthcareとCosmos Transferを活用し、NVIDIA Jetson AGX Thor™とHoloscanを搭載したDynamis手術ロボットの自律アームをトレーニングしています。XRLabsもエクソスコープをはじめとする外科用スコープにThorとIsaac for Healthcareを活用し、外科医にリアルタイムAI分析によるガイダンス機能をもたらします。
ロボット開発を加速する新フレームワーク
ロボットのトレーニングと評価には、スケーラブルなシミュレーションが不可欠です。NVIDIAは、複雑なパイプラインを簡素化し、研究から実世界への移行を加速する新たなオープンソースフレームワークをGitHub上で公開しました。
-
NVIDIA Isaac Lab-Arena:シミュレーション環境における大規模なロボットポリシー評価とベンチマークのための協調システムです。Lightwheelとの緊密な連携の下で設計されており、LiberoやRobocasaといった業界をリードするベンチマークと接続し、物理ハードウェアへの展開前にロボットスキルが堅牢であることを保証します。
-
NVIDIA OSMO:クラウドネイティブなオーケストレーションフレームワークで、ロボット開発を単一の使いやすいコマンドセンターに統合します。OSMOは、開発者がワークステーションから複数のクラウドインスタンスまで、異なるコンピューティング環境全体で合成データ生成、モデルトレーニング、ソフトウェアインザループのテストなどのワークフローを定義・実行でき、開発サイクルを加速します。
Hugging Faceとのタッグでオープンソース開発がもっと盛り上がる!
ロボティクスは、Hugging Faceにおいて最も急速に成長している分野の一つであり、NVIDIAのオープンモデルとデータセットがトップのダウンロード数を誇っています。NVIDIAはHugging Faceと協力し、オープンソースのIsaacおよびGR00Tテクノロジを主要なオープンソースロボティクスフレームワークであるLeRobotに統合しました。
これにより、NVIDIAを活用する200万人のロボット開発者とHugging Faceの1,300万人のAI開発者が繋がり、エンドツーエンドの開発が加速します。Hugging Faceのオープンソースヒューマノイド「Reachy 2」はNVIDIA Jetson Thor™ ロボティクス コンピューターと完全に相互運用可能で、GR00T N1.6を含むあらゆるVLAを実行できます。また、Hugging Faceのオープンソース卓上ロボット「Reachy Mini」はNVIDIA DGX Spark™と完全な相互運用が可能となり、NVIDIAの大規模言語モデルやローカルで動作する音声およびコンピュータービジョン向けオープンモデルを活用したカスタム体験を構築できます。
パワフルなJetsonでヒューマノイドも産業用AIも進化
NVIDIA Jetson Thorは、推論機能を備えたヒューマノイドロボットの膨大な演算要件を満たします。CESでは、ヒューマノイド開発者たちがJetson Thorを統合した最先端のロボットを披露しました。
-
NEURA Robotics:Porscheデザインの第3世代ヒューマノイドに加えて、精密な操作向けに最適化された小型ヒューマノイドを投入。
-
Richtech Robotics:複雑な作業環境での高度な操作と移動を実現する移動型ヒューマノイド「Dex」を発表。
-
AGIBOT:産業用および民生用のヒューマノイドと、Isaac Simと統合されたロボットシミュレーションプラットフォーム「Genie Sim 3.0」を導入。
-
LG Electronics:屋内での家事を幅広くこなせるように設計された新しい家庭用ロボットを発表。
Boston Dynamics、Humanoid、RLWRLDの各社は、既存のヒューマノイドロボットにJetson Thorを統合し、ナビゲーションと操作能力を強化しています。
また、NVIDIA Jetson™ Orin™ユーザーにコスト効率に優れた高性能アップグレードパスを提供する新しいNVIDIA Jetson™ T4000 モジュールが提供開始されました。これはNVIDIA Blackwellアーキテクチャを自律型マシンと汎用ロボティクスにもたらし、前世代の4倍の性能と優れたエネルギー効率を実現します。さらに、今月後半に提供開始予定のNVIDIA IGX Thorは産業用エッジ領域にロボティクスを拡張し、エンタープライズソフトウェアのサポートと機能安全に対応した高性能AIコンピューティングを提供します。
ArcherはIGX Thorを使用してAIを航空分野に導入し、航空機の安全性、空域統合、自律動作対応システムにおける重要な機能を前進させています。AAEON、Advantech、ADLINK、Aetina、AVerMedia、Connect Tech、EverFocus、ForeCR、Lanner、RealTimes、Syslogic、Vecow、YUANなどのパートナーは、エッジAI、ロボティクス、組み込みアプリケーション向けにThor搭載システムを提供しています。
さらに、CaterpillarがNVIDIAとの協業を拡大し、建設および鉱業分野の設備や作業現場に高度なAIと自律性を導入します。詳細については、NVIDIA Live at CESをご覧ください。
NVIDIAの技術は、さまざまな産業でロボットの可能性を広げ、私たちの未来をより便利で豊かなものにしてくれるでしょう。今後の進化にも注目ですね!

